イラン
カスピ海とペルシャ湾という二つの海に接するイランでは、特に南部のペルシャ湾岸地域(バンダル・アッバースなど)や北部のカスピ海沿岸で魚料理が日常的に食べられています。ペルシャ料理特有のハーブと酸味を効かせた味付けが特徴です。

クーフテ・マヒ(کوفته ماهی/ ペルシャ風・魚のハーブ肉団子)
【メイン原料】: サワラ、ハタなどの白身魚(+玉ねぎ、コリアンダー、フェヌグリーク、ニンニク)
【特徴】: イランの伝統的な巨大肉団子料理「クーフテ」を、海沿いの地域で魚のミンチに置き換えた料理です。魚のすり身に、細かく刻んだ大量のフレッシュハーブ(コリアンダーやディルなど)とスパイスを練り込み、ボール状に丸めて少量の油で揚げ焼きにします。その後、タマリンドのペーストやトマトを使った酸味のあるソースでじっくりと煮込みます。魚の旨味にペルシャ料理特有の深い酸味とハーブの香りが絡み合う、非常に手の込んだ煮込み料理です。
レバノン
地中海東岸に位置するレバノン(およびシリアなどのレバント地方)は、中東の中でも特に洗練された食文化を持つことで知られています。沿岸部の都市(トリポリなど)では、中東を代表する料理を海鮮でアレンジする文化が根付いています。

キッベ・サマク(Kibbeh Samak / 魚とブルグルの包み揚げ)
【メイン原料】: 白身魚のすり身(+ブルグル、玉ねぎ、松の実、各種スパイス)
【特徴】: 中東全域で食べられている「キッベ(挽肉とブルグルと呼ばれる挽き割り小麦を混ぜた生地で、ナッツや肉の餡を包んで揚げる料理)」の魚バージョンです。外側の生地を肉の代わりに「白身魚のすり身」とブルグルを練り合わせて作ります。その生地で、炒めた玉ねぎや松の実、コリアンダーなどを包み込み、ラグビーボールのような形に成形して油でカリッと揚げます。サクサクとしたブルグルの香ばしさと、魚の淡白な旨味が見事に調和した、地中海沿岸部ならではの上品なねりもの料理です。