ナイジェリア
豊富な大西洋の海洋資源と多様な農産物を背景に、豆類の精密な脱皮技術と、魚介類・油脂を組み合わせた高度な乳化(エマルジョン)文化が根付いています。

モインモイン(Moin Moin / 豆と魚肉の蒸しペースト)
【メイン原料】: ササゲ(またはブラウンビーンズ)、魚肉(サバなど)、植物油(またはパーム油)、赤唐辛子、タマネギ、乾燥ザリガニ
【特徴】: ササゲの皮を完全に剥いて滑らかなペースト状に挽き、ほぐした魚肉や油とともに激しく攪拌して乳化させた豆のねりものです。葉や容器に小分けして密閉状態で蒸し上げることで、タンパク質が熱凝固し、しっかりとした弾力を持つプリン状のテクスチャーに仕上がります。朝食や副菜として広く愛されています。
セネガル
大西洋の豊かな沿岸漁労文化を持ち、水揚げされた新鮮な魚介類をすり身にして加工し、保存性と栄養価を高める技術が発達しています。

ブレット・ド・ポワソン(Boulettes de Poisson / 揚げ魚肉団子)
【メイン原料】: 白身魚(タラ、ティラピアなど)、パン粉、水(または牛乳)、タマネギ、唐辛子、パセリ
【特徴】: 白身魚の皮と骨を取り除き、粘り気が出るまで徹底的にすり潰して作るねりものです。つなぎとしてパン粉を練り込み、高温の油で揚げた際の急激な水分蒸発を防ぐ構造を作り出しています。外はキツネ色でふっくらとしており、国民食であるチェブジェンとともに供されたり、トマトソースで煮込まれたりします。
ガンビア
大西洋に面した地理的条件からセネガルと似た食文化を共有し、豊かな水産資源を活かした魚肉の加工料理が日常的に食卓に並びます。

チュー・ブレット(Chu Bullet / 魚肉団子のシチュー)
【メイン原料】: 白身魚のすり身、タマネギ
【特徴】: 白身魚をすり潰して作った魚肉団子を、風味豊かなタマネギのソースなどで煮込んだシチューです。ガンビアの日常的な食事として親しまれており、魚の旨味がソースに溶け込んだ食べ応えのある一品です。
モロッコ
地中海と大西洋の海産物に加え、中東の肉ペースト文化と北アフリカ特有の強烈なスパイス使いが融合した、極めて洗練された食文化を持ちます。

モロッカン・フィッシュ・コフタ(Moroccan Fish Kofta / スパイス魚肉団子のポシェ)
【メイン原料】: 白身魚(オヒョウなど)、生パクチー、パセリ、ニンニク、タマネギ、ラス・エル・ハヌート(混合香辛料)、ハリッサ、レモン
【特徴】: 淡白な白身魚をミンチ状にし、大量のハーブと複雑なスパイスを練り込んだ魚肉団子です。油で揚げず、レモンとハリッサを効かせたスパイシーなトマトソースの中で優しくポシェ(低温煮)することで、肉汁と香りを内部にたっぷり閉じ込めたジューシーなテクスチャーが実現します。
南アフリカ共和国
先住民の牧畜・儀式文化と、植民地時代に東南アジアから流入した労働者(ケープマレー系)がもたらした海産物加工文化が共存し、多様なねりものが存在します。

フリッカデル(Frikkadel / ケープマレー風 魚肉団子)
【メイン原料】: 白身魚(またはサバの缶詰)、牛乳、マッシュポテト、タマネギ、ニンニク、ショウガ、香草、魚用マサラ、卵、パン粉
【特徴】: 魚肉を少量の牛乳で軽くポシェして臭みを抜き、ほぐした身にマッシュポテトや多彩なスパイス、つなぎを練り合わせて均一なパティ状に成形した魚肉団子です。油でキツネ色に焼くか揚げ、濃厚なソースで煮込まれることもある多文化共生を象徴する料理です。
ガーナ
塩漬けの乾燥魚と豊かなハーブやスパイスを用いた、カリブ海沿岸の食文化とも深い繋がりを持つ魚肉ねりものの文化があります。

ソルトフィッシュ・フリッター / アクラ(Saltfish Fritters / 塩ダラの揚げねりもの)
【メイン原料】: 干し塩ダラ(ソルトフィッシュ)、小麦粉、ベーキングパウダー、タマネギ、スコッチボネット(唐辛子)、タイム
【特徴】: 塩漬けにして乾燥させた魚を水戻しして細かくほぐし、小麦粉やベーキングパウダーで作った生地に、刻んだタマネギや強烈な辛味を持つスコッチボネットペッパー、ハーブ類とともに練り込んで揚げる魚肉ねりもの(フィッシュケーキ)です。外はサクサク、中はふんわりとした食感で、朝食やおやつ、集まりの前菜として親しまれています。
エジプト
レバント地方を起源とする肉を粉砕する中東の高度な調理技術が浸透しているほか、独自のスパイスと魚肉を組み合わせたペースト料理も存在します。

フィッシュ・コフタ(Fish Kofta / スパイス魚肉ペーストの団子)
【メイン原料】: 白身魚のすり身、卵白、赤タマネギ、ニンニク、クミン、コリアンダー、シナモン、米粉
【特徴】: 肉のコフタが有名なエジプトや中東地域ですが、魚肉をフードプロセッサーで滑らかなペースト状になるまで徹底的に撹拌(ブリッツ)したフィッシュ・コフタも食されています。卵白と米粉をつなぎとして使用し、すりおろした赤タマネギを加えることで、加熱しても非常に柔らかくジューシーな食感を保ちます。クミンやシナモンなどの中東特有のスパイスが豊かに香る魚肉ねりものです。
タンザニア
インド洋の交易拠点として多様な文化が交差し、豊富な沿岸の水産資源を活かした独自の魚肉団子料理が発展しています。

スワヒリ・フィッシュボール(Swahili Fish Balls / スワヒリ風 魚肉団子)
【メイン原料】: 白身魚またはサバ、ニンニク、タマネギ、卵、小麦粉、コリアンダー(パクチー)、パン粉
【特徴】: 魚を軽く茹でてから細かくほぐし、香味野菜、卵、小麦粉とともに均一なペースト状になるまで練り合わせて作る東アフリカ沿岸部の魚肉団子です。丸めてパン粉をまぶして揚げたもので、サクサクとした衣とスパイスの効いた魚の旨味が特徴です。そのままスナックとして食べるほか、「ムトゥジ・ワ・サマキ(Mtuzi wa samaki)」と呼ばれるスワヒリ風の濃厚な魚シチューの具材としても愛されています。